すやっきぃの仕組み

すやっきぃとは?牡蠣殻から生まれた泥団子の働きと仕組みを解説

「すやっきぃ」は、牡蠣殻を主原料とした泥団子で、海への設置によってヘドロの浄化や生態系の回復を促す素焼き玉です。

吸着・分解・循環という自然の仕組みを活かし、水質改善だけでなく、アサリや魚が育つ環境づくりにもつながります。

本記事では、すやっきぃの仕組みや効果、実際の取り組みについて詳しく解説します。

すやっきぃとは

すやっきぃ(大崎智洋氏考案)は、牡蠣殻を主体にした泥団子で、3年にわたり実験が行われています。

牡蠣殻を細かく砕き、粘土やクエン酸と混ぜて焼き固めたもので、海に設置することで環境改善に役立てられています。

海の底にたまるヘドロの浄化や水質の改善、生き物が育ちやすい環境づくりを目的とした取り組みです。

特別な機械や薬品に頼らず、太陽の光や潮の満ち引きといった自然の力を活かして働く点が特徴といえるでしょう。

環境への負担が少ない方法として、注目が集まっています。

身近な素材からつくられ、海と自然、地域の人々をつなぐ取り組みとして広がりを見せています。

すやっきぃの仕組み

すやっきぃは、自然の力を活かしながら海の環境を整える3つの仕組みを持っています。

  • ヘドロを吸い取る
  • 太陽の光で分解する
  • 潮の満ち引きで水を循環させる

ここでは、その仕組みを順に解説します。

ヘドロを吸い取る

海の底にたまるヘドロは、においや水の濁りの原因となり、生き物が暮らしにくい環境をつくります。

すやっきぃは、表面に無数の小さな穴を持つ「多孔質」構造になっており、スポンジのようにヘドロを吸着する性質があります。

細かな穴によって周囲の汚れを少しずつ取り込み、海底の状態を改善していきます。

設置された場所ではヘドロが減少し、水が澄んでいく変化が確認されています。

時間をかけて穏やかに働くため、海中環境への負担が少なく、自然に浄化が進む点が特徴です。

太陽の光で分解する

すやっきぃは、吸着したヘドロをため込むのではなく、太陽の光によって分解する働きも持っています。

表面に含まれる成分が紫外線を受けることで、日光消毒に近い働きが生まれ、においや有機物などの原因物質が分解されていきます。

光の力を利用した作用についてはさまざまな見解があり、現在も検証が進められている段階です。

さらに、すやっきぃに棲みつくバクテリアの働きによって、海中の化合物がより細かな成分へと分解されていきます。

分解された成分は、海の中でより利用されやすい形となり、植物プランクトンや小さな生き物の栄養となっていきます。

洗濯物を外に干すとすっきりするように、自然の力による清浄化と分解の働きが、海の中で継続的に進んでいきます。

潮の満ち引きで水を循環させる

海は潮の満ち引きによって常に動いており、自然の流れがすやっきぃの働きを支えています。

すやっきぃは水を吸い込み、吐き出す動きを繰り返すことで、周囲の水を入れ替えます。

満潮時には汚れを含んだ水を取り込み、干潮時には太陽の光を受けて分解が進み、再びきれいになった水を戻します。

循環が繰り返されることで、水質は少しずつ改善されていきます。

人の手で強制的に浄化するのではなく、海の動きと連動して働く仕組みです。

すやっきぃによって起こる変化

すやっきぃを設置することで、海の環境には、次の3つの変化が生まれます。

  • 水質が改善される
  • 生き物が戻ってくる
  • 生態系の循環が生まれる

ここでは、その変化の流れについて解説します。

水質が改善される

すやっきぃは、ヘドロの吸着と分解を繰り返し、海の水質を徐々に改善していきます。

においや濁りの原因となる物質が減ることで、水中環境が安定し、酸素や栄養のバランスも整いやすくなります。

急激な変化ではなく、自然の力を活かしてゆっくりと働く点が特徴です。

穏やかな変化が、生き物の回復につながる土台となります。

生き物が戻ってくる

水質の改善によって、生き物にとって過ごしやすい環境が整い、海に生き物が戻ってきます。

小さな生き物が増えることで、それをエサとする魚も集まり、海の中に自然な流れが生まれます。

すやっきぃは、生き物の居場所としても機能します。

  • 栄養が生まれる
  • 育つ場所になる

働きが重なることで、生き物が定着しやすい環境へと変わっていきます。

栄養が生まれる

すやっきぃには、海の生き物に必要な栄養となる成分が含まれており、水中にゆっくりと広がることで環境の土台を整えていきます。

特に、植物プランクトンが育ちやすくなるため、海の生き物たちが生きるための基盤が安定します。

植物プランクトンは目に見えにくい存在ですが、小さな生き物の重要なエサとなり、増えることで魚が集まりやすくなります。

すやっきぃは、単に汚れを取り除くだけでなく、生き物の命を支える基盤づくりにも深く関わっているのが特徴です。

育つ場所になる

すやっきぃの表面には細かな凹凸があり、小さな生き物が付着しやすい構造になっています。

特に、アサリの稚貝などは、凹凸部分にある隙間に入り込むことで、外敵から身を守りながら成長できます。

また、水の流れがある環境でも流されにくく、定着しやすい場所になるため、生き物が長く留まることができます。

実際の実験でも、すやっきぃを設置した場所ではアサリが集まりやすくなり、成長が早まる傾向が確認されています。

生態系の循環が生まれる

すやっきぃの働きによって、水質の改善と生き物の増加がつながり、海の中に自然な生態系の循環が生まれていきます。

植物プランクトンから小さな生き物、魚へと続く流れが安定すれば、持続的に命が循環する環境へと変わっていきます。

命の循環が整うことで、海は一時的にきれいになるだけでなく、将来にわたって豊かさを保てる状態へと近づいていきます。

海を育てるということ

すやっきぃの取り組みは、単に水をきれいにすることだけを目的としていません。

海の環境を整え、生き物が自然に増えていく状態をつくることを大切にしています。

繰り返した実験の結果、藻場(もば)と呼ばれる海藻が育つ環境が生まれ、多くの生き物の住処となりました。

海藻や植物プランクトンは二酸化炭素を吸収する働きも持ち、地球環境にも関わっています。

すやっきぃは、海を持続的に育てていく視点から生まれた取り組みといえます。

地域とともにつくる取り組み

すやっきぃは、地域の人々とともにつくられています。

牡蠣殻を集め、砕き、泥団子として成形し、焼き上げる工程には多くの人が関わっています。

泥団子の成形は、子どもから大人まで参加できるため、環境問題を身近に感じるきっかけにもなっています。

廃棄されていた牡蠣殻や使い捨てカイロを再利用することで、資源の循環にもつながっています。

環境保全だけでなく、人と人とのつながりを生む活動としても広がっています。

まとめ|これからの海へ

すやっきぃは、牡蠣殻という身近な素材から生まれた、自然の力を活かした環境改善の役割を担う素焼き玉です。

ヘドロの浄化、水質の改善、生き物の回復といった変化を、時間をかけて生み出していきます。

大きな設備や特別な技術に頼らず、多くの人が関われる点も特徴です。

取り組みが広がることで、海の環境は少しずつ回復し、豊かな生態系が戻っていくことが期待されています。